データ戦略クリエイティブ 第2回
2025.04.28

SalesPlus代表取締役社長 CEO 大浦芳久
小売店のPOSデータを活用するデータ戦略クリエイティブとは? 第2回「広告企画戦略にはマストな分析『MST分析』とは」
「データ戦略クリエイティブ」はSalesPlusの持つ特徴的なソリューションのひとつです。
複数回に渡りSalesPlusのCEO大浦がその要点を解説します。
SalesPlusのCEO大浦が連載で解説している「データ戦略クリエイティブ」。
今回はその基礎となる「分析」についてのお話しです。
SalesPlusでは、広告企画戦略を立てる前に、「MST分析」というものを行っています。
「MST」とは、M(メジャー)S(シェア)T(トレンド)という3つの視点での相関分析になります。
これは、SalesPlusのオリジナル分析です。
広告企画戦略にはマストな分析、それが「MST(マスト)分析」と私たちは呼んでいます。
広告のデータ分析活用には主に3つの要素があります。
それは、「ターゲティング」と「インサイト分析」と「市場分析」です。
ターゲティングは「個人識別」、インサイトとは「顧客心理」、そして商品がおかれている環境や商品ポジショニングという視点での「商品環境」です。

この「MST分析」は主に商品を中心に見ます。
市場環境やポジショニングを見ると同時に、その商品市場がどう動いているかというトレンドを見るので、それはすなわち人の気分で左右されることも踏まえ、インサイト分析の一部が関わってきます。
つまり、この「MST分析」は、商品ポジションと相対的な価値を明らかにすることで、市場での「勝ち筋」を見つけるデータ分析ということになります。

ちなみに、「ペルソナ」「カスタマージャーニー」「ファネル」という、マーケティング用語でよく出てくる3つがあります。
これとの違いに関しても説明しておきたいと思います。
まず、ペルソナとカスタマージャーニーはセットで考えていただいて大丈夫です。
ペルソナは個に寄っていく、この人はこんなタイプのこんな人ですよというような人物像を設定して、コアターゲットやサブターゲットを導き出します。
そして、その人が普段どんな行動をしてどんな気持ちの変容をするのかというようなことを考えていきます。
ファネルというのは、顧客視点でその人の行動を追っていく、古くから使われているもので、実はこれはメディア起点の考え方となります。
間口は個というよりも世の中すべての人、それをふるいにかけていき、なるべく多くを購買に引っ張っていくという、「入口は全員です」というのがファネルの考え方の特徴です。

まとめるとこういうことになります。
人物像の分析をして、仮想顧客を設定して、その人がどんな心理でどんな広告接点で購買行動をくりかえしていくのかという視点です。
カスタマージャーニーは、買って終わりではなく、買った後もまた買ってくれるかということや別の商品に浮気するなどまで見ていくことになります。
これらは、コンタクトポイントの設計、どこに広告を置いていけばいいのかなどを考える際に使えますし、ファネルと一緒に考えていくことになります。
ファネルは、先ほどお伝えしたようにあらゆる人をふるいにかけていくという考え方なので、リーチ効率の観点でも、最初にテレビで大きくリーチを取って、だんだんとインターネットやダイレクトマーケティングなどで絞り込んでいき、この真ん中の購買起点で買わせて、右側の広がりはリバースファネルといいますが、リピートしたり口コミしたりで広がっていくということになります。
これはメディアの考え方が起点になっていますので、予算のアロケーションなどで使うと便利です。


ゴールはいずれも、「ロイヤルカスタマー化」です。
MST分析がどのあたりに当たるのかというとこんなイメージです。

もちろん、ファネルにも関わってきますが、恐らく、ペルソナやカスタマージャーニーに近いほうに当たると思います。
ペルソナやカスタマージャーニーがあって、メディア起点でのファネルがあって、商品市場起点でのMST分析と考えていただけるとわかりやすいかもしれません。
ゴールは一緒。ロイヤルカスタマー化です。
MST分析では、商品の相対的な位置がわかると同時に、時代や人の気分やニーズとの相関が見えてきますよということが、何となくご理解いただけましたでしょうか。
次のコラムでは具体的に、M(メジャー)S(シェア)T(トレンド)を深掘りしてお伝えします。