九州リテールメディアフェデレーションの歩み
2025.10.21

九州発・リテールメディアを通じた共創の輪
九州には、店舗に根ざした確かな生活者のリズムがあります。日常の買物動線、地域の旬、家族の時間。世の中のDX化、EC化が進む一方で、店舗で買物をするという“体験”の価値が薄れることはありません。むしろ、店内での体験や情報接点が、ブランドと生活者を最短距離でつなぐ時代です。こうした環境変化の中で生まれたのが、九州リテールメディアフェデレーション(Kyushu RetailMedia Federation、以下KRF)。KRFは小売企業・メーカー・地方テレビ局・広告会社などが立場を越えて手を結び、新しいデファクトスタンダードを目指す“リテールメディアを通じた共創の輪”です。
KRFは勉強会を重ね、2025年7月に第8回勉強会を開催致しました。2025年11月には第9回勉強会の開催を予定しています。本稿では、KRF発足の背景、歩んできた道のり、参加企業の広がり、そして私たちが実現すべき未来と、取り組むべき課題、運営事務局を担うSalesPlusとして、現場の泥臭さも含めて、等身大の記録を記します。
KRFはなぜ生まれたのか“発足の背景”
KRF誕生のキッカケは、2022年に株式会社トライアルカンパニー(以下、TRIAL)×イオン九州株式会社(以下、イオン九州)にて、同じ映像素材を同時期にサイネージ放映したことにまで遡ります。そして2023年初頭、TRIAL常務執行役員の野田氏と弊社、代表取締役副社長COO関との間で交わされた「小売共創のリテールメディアネットワークが構築できないか?」という何気ない会話を皮切りに本格的な取り組みが動き始めます。既に九州エリアの小売企業間では物流における『九州物流研究会』、総務における『九州総務連合会』という共創組織が存在していました。
当時リテールメディア(店内サイネージ、アプリ等)はまだ流通対策費、販促費のリプレースとしての位置づけが強く、大きな市場ではありませんでした。しかし、米国のリテールメディアの動向を鑑みると、日本でも確実に成長する市場であることは明白でした。「お客様のことを一番知っており、お客様が今まさにお買い物される店舗がこれからのマーケティングの主戦場になる」という確信をもって九州から日本を変えようと、大きな一歩を踏み出します。
そして、日本の広告市場の主要媒体であるテレビCMと小売共創のリテールメディアネットワークを掛け合わせて販売することで、広告・宣伝を改革するということを旗印にKRFを発足しました。
学びの蓄積と拡張
KRFの歩みは、「想い」の連鎖と言うことができます。創設期は弊社、関の小売流通企業各社への行脚から始まりました。2023年6月にはTRIAL野田氏とイオン九州岩下氏(当時、上席執行役員)とともにKRF発足草案を協議し、同年9月に西鉄ストア様にも参画いただき、記念すべき第1回KRF勉強会が開催されました。
1ヶ月後の10月に第2回を開催し、KRFの会則や横断ソリューションについての協議、12月の第3回勉強会では地方テレビ局や交通広告会社にもご参加いただきました。
2024年開催の第4回では新たな小売企業を迎え、回数を重ねるたびに、小売各社の想いの連鎖と結束の強まり、そして横断リテールメディアの影響力や認知が広がっていくことを実感しました。また、横断キャンペーンでエリアの売上異常値を叩き出した食品メーカー様にも勉強会へご参加いただき、エリアマーケティングの成功事例として各社に共有しています。
加盟企業と参加者の広がり“多様性”が生む推進力
KRFは、正式加盟企業を中心に、オブザーバーを含む40〜50名規模で運営されています。参加者は、経営層からマーケ、デジタル、企画、地方テレビ局、交通広告会社、さらにメーカー側のブランド、販促担当と多岐にわたります。多様性はしばしば発言や合意形成を難しくしますが、KRFでは「リテールメディア業界全体の活性化に繋がるか否か」を判断基準に置くことで議論が活発化します。参加各社にとっては勉強会で自社に持ち帰って“使える様々な具体”を得ることが便益になります。

具体的な成果—現場に根ざした標準化と実装
KRFから生まれた成果は、大きく3つに整理できます。
1. 窓口の一元化:媒体仕様・入稿基準・編成ルール・運用フローの共通化。これにより、メーカー側の企画・商談・入稿の手間を削減し、流通各社への出稿のハードルが大きく下がりました。
2. キャンペーンの効果検証の型化:POSデータを軸に、購買リフト検証の型が整備されつつあります。
3. KRF横断ソリューション:“九州横断”の枠組みが進み、KRF経由の特別特典を付与したメニューが構築されました。
SalesPlusが運営事務局として担う役割
SalesPlusは、KRFの運営事務局として、以下を担っています。 参加小売企業各社のメディア出稿の窓口としての取りまとめ、メーカーに変わって各社への出稿枠の買い付け、各社用に最適化したコンテンツの入稿、横断キャンペーン実施後の実績レポート集計と評価のメーカーへのお戻しなどです。
私たちは特定の誰かの利益に偏らず、生活者×小売×メーカーという三方良し、を実現すべくその姿勢そのものが、KRFの信頼の基礎になっています。

KRFが実現すべき未来—九州から他エリアへ
KRFの取り組みは、今はまだ九州エリアに限定されていますが、他エリアでも通用する“枠組み”として取り組みを広げていきます。九州のみならず、関東、関西、中四国、北海道などその地域ごとに合わせたエリアマーケティングの根幹として機能する確信があります。従来のブランドマーケティングからリテールメディアへのアロケーションは既に始まっています。SalesPlusは日本でリテールメディアとエリアマーケティングのイノベーションを起こすため、この取り組みを推進していきます。
横断施策の実施と会合参加のご案内「新しい一歩」を
KRFは多様な関わり方を歓迎します。メーカー様であれば、横断キャンペーンの実施について是非ご相談ください。SalesPlusが運営事務局として各社の課題に合わせたリテールメディアプランの立案からコンテンツ制作、効果検証まで伴走します。詳細はお問い合わせフォームからお問い合わせください。日程や枠に限りがあるため、調整のうえご案内いたします。小売流通様についてはまずは勉強会へオブザーバー参加していただき、私たちの取り組みを実際に肌で感じていただくのはいかがでしょうか。是非ご検討ください。

おわりに
KRFの歩みは、九州という“生活の現場”から生まれた、課題解決のための共同体の歴史です。第8回までの学びを土台に、これからは標準化に力を注ぎ前へ進みます。「生活者にとって良い買物体験は何か」を中心に、関わる全ての企業に喜ばれる仕組みをつくり続けます。九州から全国へ。その輪に、ぜひ加わってください。
KRFへの出稿や参画のご相談は当社にご連絡ください。