第8回「九州リテールメディア連合会」勉強会 実施レポート
2025.10.12

購買近接点に強いマーケティング・ソリューションカンパニーである株式会社SalesPlus(本社:東京都港区、代表取締役社長CEO:大浦芳久、以下、SalesPlus)は、2023年9月に発足した「九州リテールメディア連合会」の活動報告及び、今後の活動方針について、2025年7月24日(木)に勉強会を開催いたしました。
当日は、九州リテールメディア連合会の参画企業である、トライアルカンパニー、イオン九州、西鉄ストア、ミニストップ、勉強会参加企業としてはイズミ、サンキュードラッグ、東急ストア、アサヒグループジャパンなど、合計10社が参加しました。
<当日の内容>
当日は下記3部構成で登壇者による取り組みや事例の共有や質疑応答が行われた。
■電通のリテールメディア対応組織「dentsu retail unit」について
■リテールメディアの未来像
■事例紹介:大手ドラッグストア×大手医薬品メーカー
■東急ストア様 リテールメディア事例
<第8回九州リテールメディア連合会_実施サマリー>
『リテールメディアにおいて “統合的ブランド体験” の構築が、メーカー・小売・代理店の三者にとって重要なテーマに』
単なる広告枠としてのリテールメディアへの出稿ではなく、メーカーと小売が“共通のKPI”で連携し、顧客体験を価値化する仕組みづくりがリテールメディアの主要な取組みになってきている。
サイネージ効果測定やPR連動企画なども増加傾向にある。
■東急ストアは都市型スーパーとして“生活者起点”のメディア実証を加速
ID連携(DCS)によるターゲティング広告、AIカメラ付き売場での行動可視化、ロイヤル顧客によるファンコミュニティ施策など、小規模店舗でも実施可能な**“実験型メディアモデル”**を展開。
関東エリアでの他流通企業との連携構想も発表。
<参画企業>
■イオン九州株式会社
■株式会社トライアルカンパニー
■株式会社西鉄ストア
■ミニストップ株式会社
<勉強会参加企業>
■イズミ株式会社
■株式会社サンキュードラッグ
■株式会社東急ストア
■アサヒビール株式会社
■株式会社電通
<登壇者氏名>
■株式会社電通 データ・テクノロジーセンター リテールデータ開発2部 倉田哲宏 氏
■株式会社東急ストア MD企画部 マーケティング課長 山口修平 氏
※一部抜粋して記載

会場の様子
本勉強会の前半では、株式会社電通から「dentsu retail unit」について、リテールメディアの未来像、事例の紹介が行われ、後半では株式会社東急ストアから最新の事例紹介が行われました。
リテールメディア専門組織「dentsu retail unit」とリテールメディアの未来像について
株式会社電通 データ・テクノロジーセンター リテールデータ開発2部 倉田哲宏 氏
■リテールメディア専門組織「dentsu retail unit」
株式会社電通では、リテールメディア事業におけるクライアント支援を強化するため、2020年にバーチャル組織「dentsu Retail Unit」を設立しました。2023年にはこれをリニューアルし、社内横断のプロジェクトとして体制を再構築しています。「生活者の買い物体験の向上」を第一に掲げ、「メーカー企業の販促支援」「小売業の売上貢献」といった三方良しのビジョンの実現を目指しています。運用体制においては、基盤構築から顧客体験の設計、統合プランニングまでをワンストップで提供できる点が強みです。
実際の取り組みとしては、個社向けにはソリューションの開発や駐在型の人的支援、リテールメディアの販売・効果検証、さらには合弁会社の設立などを行っています。また、小売横断型のベンダーに対しては、資本業務提携や販売支援、検証活動を実施しています。ポイント・決済領域では、決済事業者とのパートナーシップ締結やソリューションの共同開発、デジタル販促キャンペーンの共催を進めており、ECプラットフォーマーとは合弁会社の設立、デジタル広告の販売・運用、CRM支援まで幅広く取り組んでいます。
■リテールメディアの未来像
国内のリテールメディア市場は、2028年には1兆845億円に達すると予測されており(※1)、急速な成長を遂げています。中でも注目されているのが「店舗事業者」によるリテールメディアの進化です。現状ではEC事業者が市場の大半を占めていますが、2024年から2028年にかけては、店舗事業者による取り組みの成長率が約380%に達すると見込まれています。
この背景には、小売各社が自社の店舗、アプリ、店内サイネージ、レジ端末などを「メディア」と再定義し、購買接点そのものをブランドコミュニケーションの場として活用し始めている流れがあります。こうした「買い場」から「伝え場」への転換は、従来の広告枠販売とは異なり、顧客体験の設計とデータ利活用を統合的に捉える「マーケティング視点でのメディア運用」が重要な鍵となります。
このようなリテールメディアの本質的な価値を、電通では「顧客体験価値の最大化」と再定義しています。従来の販促費(年間約15兆円)や広告宣伝費(約8兆円)に依存した分断的な施策ではなく、ブランドマーケティング、トレードマーケティング、ショッパーマーケティングを統合的に設計し、店頭・メディア・デジタルを横断した一貫性ある体験の提供を目指すべきだと考えています。
今後は、単なる広告出稿ではなく、生活者の購買体験を中心に据えた“統合的ブランド体験”の構築が、メーカー・小売・代理店の三者にとって重要なテーマとなります。
※1:CARTA HOLDINGS/デジタルインファクト調べ
東急ストアのリテールメディア戦略について
営業本部 MD企画部 マーケティング課長 山口修平 氏
東急ストアでは、店舗網を起点としたリテールメディアの展開を進めており、来店客とのリアルな接点を活かした新たな価値創出に取り組んでいます。「店舗をメディアにする」という発想のもと、購買行動と結びついたコミュニケーション設計を推進しています。
リテールメディアを「単なる広告枠」ではなく、「生活者との接点そのもの」と捉え、販促施策からメディア価値への転換を図っています。従来は、店頭販促やPOPなど、売上に直結する即効性の高い施策が中心でしたが、現在は中長期的なブランド形成や商品体験の設計を重視したメディア化を進めています。
また、流通業界全体の変化として、これまで営業部門が主導していた販促枠の販売についても、今後はマーケティング視点からの整理・再設計が必要とされており、社内横断での戦略的な連携を強化しています。
現在は、店内デジタルサイネージの導入やセルフレジ付近に設置されたタブレット端末などを活用し、来店中の生活者に対して商品情報やタイムリーなプロモーションを発信しています。これにより、売場内での回遊・発見・購買の導線を設計し、紙媒体とは異なる動的な接触機会を創出しています。
さらに、メーカー企業と連携したキャンペーン施策も展開しており、来店体験に即したプロモーションを通じて、これまで以上に深いブランド接触を実現しています。
今後は、実店舗における「メディアの可視化」にも注力し、広告主に対して定量的な効果測定が可能な仕組みの整備を目指しています。たとえば、販促施策を広告指標で再定義することによって、メーカー企業にとってのマーケティング投資の魅力度を高め、予算獲得にもつなげていきたいと考えています。
東急ストアでは、生活者との「リアルな接点をメディアとして再定義する」リテールメディアの可能性をさらに広げるべく、今後も社内体制の整備とパートナー企業との連携を継続的に推進していきます。
SalesPlusは、様々な小売のリテールメディアを取り扱っています。また、店頭用の動画制作にも強みを持ち、年間で約1,000本の動画を制作し、販促効果の高い動画制作のノウハウを蓄積しています。
リテールメディアへの出稿や店頭動画の制作をご検討の企業様は、当社にご相談ください。